特集
ザ・温泉力
福島県は全国第4位の温泉地数を誇る、知る人ぞ知る温泉王国。奥羽山脈が南北を縦断し、東西に越後山脈と阿武隈山地を抱えるという地形から地質や気候風土が異なり、多様な泉質を楽しめるのも特徴のひとつ。母畑温泉には「ラドン温泉」、岳温泉には山歩きや長旅の疲れを癒す「酸性泉」、磐梯熱海温泉には美肌成分たっぷりの「アルカリ性単純泉」と温泉比べの旅が満喫できる。
母畑温泉
開湯は約900年前の平安時代末期。福島県中通りの南、阿武隈山地南西の母畑湖から流れ出る北須川に臨んで広がる温泉地。天然のラドン温泉ともいわれ、古来「母畑の三日湯」とうたわれた名湯。泉質はアルカリ性単純弱放射能泉に加えてアルカリ性単純泉も湧出している。人気の観光スポットは約8千万年という歳月が生み出した大自然の造形美「あぶくま洞」。
岳温泉
安達太良山の麓に広がる爽やかな高原の温泉郷「岳温泉」。安達太良山の泉源から山肌を伝う「湯樋」で8㎞引き湯した全国でもめずらしい強酸性泉。管の中で自然に湯もみされ、酸性泉でありながら肌に優しい湯が楽しめる。周辺には安達太良山のハイキングコースをはじめ、約130年前の裏磐梯の噴火活動によって生まれた五色沼など、自然観賞スポットが多い。
磐梯熱海温泉
開湯800年余り。美人を作る名湯として親しまれてきた磐梯熱海温泉。磐梯熱海駅近くにある共同湯「霊泉」元湯は五百川沿いに自噴していた温泉。当時の風情そのままに源泉入浴ができる。泉質はアルカリ性単純泉。泉温度が30度前後と低いが「ナトリウムイオン」「メタケイ酸」の値が高く、現在はぬる湯と熱湯を交互に入浴する入浴法で親しまれている。
爽快!「磐梯吾妻スカイ・レーク・ゴールドライン」ドライブ
磐梯吾妻スカイライン
高湯温泉と土湯峠を結び、吾妻連峰を縫うように走る“空を走る道”。眼下には「吾妻八景」に代表される景勝地が続く。春の“雪の回廊”から秋の紅葉まで、雄大で変化に富んだ様々な景色が展開する。(所要/約2~3時間)
磐梯吾妻レークライン
磐梯山の噴火で生まれた桧原湖、小野川湖、秋元湖の湖沼を眺める大パノラマルート。中津川渓谷は裏磐梯随一の紅葉の名所。(所要/約90分~2時間)
磐梯山ゴールドライン
裏磐梯高原と会津をつなぎ、磐梯山爆裂火口の絶壁、猪苗代湖などを眺めるルート。八方台から雄国沼では6月下旬にニッコウキスゲの群落が迎えてくれる。(裏磐梯からの出発:所要/約40分~1時間)
土湯温泉
吾妻連峰から湧き出る「荒川」の渓谷にある大自然に囲まれた温泉地。源泉は山深い源流沿いに位置し、150度前後の温泉蒸気と温泉水が噴出している。泉質は硫黄泉、炭酸水素塩泉、単純温泉、鉄泉など。伝統工芸品「土湯こけし」発祥の地としても知られ、東北6県の約2千体のこけしが展示された「湯愛舞台」や「薬師こけし堂」などを訪ね歩くことができる。
高湯温泉
磐梯吾妻スカイライン入口に位置する。山形の白布高湯(白布温泉)や最上高湯(蔵王温泉)と並んで奥羽三高湯と称され、泉質は酸性-含硫黄-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩泉(硫化水素型)など。全国有数の硫黄成分濃度の高さで知られている。源泉掛け流しの浴槽が53あることから、平成22年には温泉地ぐるみで「源泉掛け流し宣言」をしている。
奥飯坂穴原温泉
飯坂温泉を貫く摺上川の2㎞ほど上流にある歴史ある温泉地。摺上川は川幅が狭まって渓谷となり、周辺にはなだらかで緑豊かな山々が迫り、丘陵にはリンゴ畑が点在する。自然との距離が近く、渓流に面した露天風呂が点在しており、野趣あふれる湯浴みを堪能できるのが魅力だ。泉質はナトリウム硫酸塩塩化物泉。