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正装は浴衣と下駄がお約束
城崎温泉の外湯めぐりは、桃山方式の歌舞伎座を思わせる開運・招福の湯「一の湯」、美人の湯「御所の湯」、仏縁にちなんで御堂を模した一生一願の湯「まんだら湯」、衆生救いの湯「地蔵湯」、幸せを招く湯「鴻の湯」、子授けの湯「柳湯」。6つの外湯が徒歩20分圏内にある。泉質は塩化物泉。あたたまりの湯だから湯冷めの不安も少ない。日帰り客には外湯に入り放題の外湯1日券「ゆめぱ」がお得。各外湯の窓口で購入できる。
城崎温泉
開湯1300年の城崎温泉。日本一浴衣が似合う場所として知られるのが大谿川(おおたにがわ)と石造りの太鼓橋。志賀直哉や有島武郎など多くの文人墨客にも愛され、与謝野鉄幹が「手拭をさげて外湯に行く朝の 旅の心と駒下駄の音」と詠んだ情景が今も息づく。城崎温泉では浴衣に下駄履きが正装で、ほとんどの宿は温泉街を出歩くための浴衣も用意している。温泉街には「ゆかたご意見番」の掲示ある店が数多く存在し、浴衣が着崩れたりしたときに対応している。温泉情緒とはまさにこの街のための言葉かもしれない。
有馬温泉
「金泉」と「銀泉」の2種の温泉で知られる有馬温泉。歴史を語るときに欠かせないのが行基と仁西、そして豊臣秀吉の3人。東大寺大仏を建立した僧行基はその後約370年続く有馬温泉の礎を築いた。仁西は大洪水で荒廃した温泉地を復興を成功させた人物。秀吉は1583年から1594年までに9回有馬の湯に浸かったというほどの有馬温泉好きで正室ねねの別邸も造ったほど。しかし1596年の慶長の大地震で壊滅的な被害を受けた有馬温泉に「湯山御殿」を築くなど復興に尽力した。温泉街には「天神泉源」や「御所泉源」、炭酸泉源神社、「湯山御殿」の一部と見られる湯ぶねなどが展示された「神戸市立太閤の湯殿館」など徒歩でめぐれる観光スポットが多い。
日和山温泉
城崎温泉駅から車で約10分。断崖絶壁の眼下に広がる日本海や岩肌に打ち寄せる波しぶきやリアス式海岸の奇岩の数々を眺める日和山温泉。山陰海岸ジオパークを象徴する絶景が眼前に展開する。沖にある無人島「後ヶ島(のちがしま)」は浦島太郎にまつわる伝説の残る島。時として幻想的な竜宮城の光景も浮かぶ。1950年には龍宮城のような東屋が建立され、一軒宿「金波楼」からの絶好のビュースポットになっている。隣接する「城崎マリンワールド」へは徒歩2分。宿泊客にはチケットが滞在中有効となるフリーパスになり、何度でも入場できる。
湯村温泉
兵庫と鳥取の県境近く、情緒あふれる老舗旅館や近代的な宿が軒を連ねる古くからの温泉地。春来川沿いに湧く元湯は「荒湯」と呼ばれ、98度もの高温泉が毎分470リットル湧出している。山陰海岸ジオパークの恩恵である。テレビドラマ「夢千代日記」の舞台となり、一躍全国に知られるようになった。温泉熱を利用する荒湯たまごをぜひ。温泉水で茹でた荒湯豆腐は重曹を多く含んでいるため表面が滑らかで、湯村定番の楽しみ方。温泉の効能はナトリウム・炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉。マイカーの旅なら日本のマチュピチュ、竹田城跡へもぜひ。車で約75分だ。
必見!淡路人形浄瑠璃
500年以上に亘り淡路島に伝承されてきた国の重要無形民俗文化財「淡路人形浄瑠璃」は文楽のルーツ。舞台上で女性が活躍するのが特徴で、物語を語る太夫、音を奏でる三味線、人形遣いのどの分野にも女性が在籍する。
人形遣いは両足を操る足遣い、左手を操作する左遣い、頭と右手を司る主遣いの3パートに分かれており、1体の人形の流れるような視線や繊細に動く指先など仕草一つひとつはしなやかで、まるで命が宿っているかのよう。人形の早替わりや舞台背景を次々と変えるカラクリ「大道具返し」など、奇抜で派手な演出が楽しめるのも醍醐味となっている。演目は開催時期によって様々だが、アメリカやフランスでも大絶賛された淡路人形浄瑠璃。一見の価値がある。
洲本温泉
淡路島東岸沿いに紀淡海峡や大阪湾の眺めひときわのリゾート風の宿が点在する。泉質は単純弱放射能温泉とアルカリ性単純泉。古事記冒頭を飾る「国生み神話」が息づき、大陸や朝鮮半島と畿内を結ぶ瀬戸内海東端で古代国家形成期に重要な役割を果たした”海の民”の歴史が息づく。日本遺産のストーリー「古事記の冒頭を飾る国生みの島・淡路」に詳しい。また、皇室や朝廷に海水産物を中心とした御食料を貢いだ「御食国」の歴史を持つ淡路島。古事記には仁徳天皇の飲用水までも運んだとの記述も残る。いわば朝廷のお墨付きだったのが淡路島の食材。現代でも3年トラフグやサクラマス、伊勢海老、鳴戸鯛、鱧、淡路ビーフ、タマネギなど淡路島ブランドは全国にその名を轟かせている。