特集
熱海・御朱印ウォーク
熱海の神事と縁ある3つの神社と江戸時代から参拝されてきた「伊豆88遍路」の4つの寺院を、交通機関と徒歩を組み合わせてめぐる「御朱印ウォーク」が人気を呼んでいる。日本屈指の温泉街があることで、途中で足湯休憩や食事が楽しめることも人気の理由だ。熱海の北側と南側をめぐる2コースがあり、1泊でも2日に分けて楽しめる。交通費と飲食代などは実費。旅行・おでかけ計画アプリ「sassy」をダウンロードすると便利だ。
熱海温泉
温泉は総湧出量毎分約1万6千600リットルと圧倒的な湯量で源泉数は500以上。泉質はカルシウム・ナトリウム-塩化物泉で、平均温度は約63度と42度以上の高温泉が約9割を占めることも特徴だ。駅前や市内には食べ歩きが楽しめる商店街があり、写真映えする今どきのスイーツや海鮮料理などグルメ人気ぶりにも拍車がかかっている。熱海名物は年間を通じて10回以上開催される海上花火大会。会場の熱海湾は三面を山に囲まれたすり鉢状の地形のため、海で上げる花火の音が山に反響し、大きなスタジアムのような音響効果がある。花火師も大絶賛の会場だ。
雛のつるし飾りまつり
稲取の風習は江戸時代から続く「雛のつるし飾り」で、初節句を迎える女の子の健康や良縁を願って家庭ごとに手づくりされる。種類は各家庭に共通する「桃」「猿」「三角」を合わせると50ほど。稲取ならではの「金目鯛」は全国の食通からの評価が高く、おめでたい場には欠かせない縁起物だ。2025年1月20日から3月31日にかけて開催される「雛のつるし飾りまつり」は春を呼ぶイベント。素盞鳴(すさのお)神社では118段の階段に雛人形とつるし飾りが展示される。見事なものだ。
稲取温泉
伊豆東海岸の小さく突き出た岬に位置し、大海原や伊豆七島を望む絶好のロケーションを誇る。昭和31年の温泉湧出と昭和36年の伊豆急行線開通によって急速にリゾート地として発展した。熱海、下田方面へのアクセスが良いのも魅力だ。温泉は泉温57度の天然温泉で泉質は硫酸塩泉、単純泉など。土日祝日には東伊豆町役場前で「海の朝市」も開かれる。7・8・12月に期日と場所を変えて開催される「稲取温泉花火演舞」や10月の奇祭「どんつく祭」も見ものだ。
「黒船」で下田港めぐり
ペリーが日米和親条約締結のために再航した際に、下田港内の島から旗艦ポーハタン号に乗船して密航を企てたのが吉田松陰。その島が弁天島。下田にはペリーの黒船をモチーフに誕生した観光遊覧船「サスケハナ号」で港内のビュースポットを眺める海上観光が用意されている。黒船7隻が来航した際の海路の「みさご島」と「犬走島」の島間を通り、鵜島城跡や松陰が潜んだ「弁天島」、ペリー艦隊投錨地などを眺めるクルーズだ。
観音温泉・下田温泉
下田温泉は、奥下田の山間にある観音温泉、蓮台寺温泉、河内温泉、白浜温泉、相玉温泉の総称。泉質は観音温泉のみ強アルカリ性単純泉で、他は単純泉。観音温泉は飲泉もできる。安政元年(1854年)にペリー提督率いる黒船が下田港に入港したことが日本開国のきっかけとなり、街にはその歴史を偲ぶ玉泉寺や了仙寺、ペリーロード、下田開国博物館など、歴史ロマンをかき立てる名所旧跡がある。土地柄、海鮮料理など美食スポットも数多い。
伊東温泉
伊豆東海岸に位置する日本屈指の温泉地。全国2位の毎分約3万3千リットルの湧出量を誇る。泉質はアルカリ性単純泉、塩化物泉など。楽しみは七福神の湯に代表される10カ所の共同浴場めぐり。大正~昭和初期の木造建築が並ぶ松川沿いは大正ロマン漂うスポット。昭和3年に庶民の温泉宿として開業した東海館では館内随所に職人たちの手工を凝らした建築美を見ることができる。
浜遊び。磯遊び
「日本快水浴場百選」「日本渚100選」「日本の白砂青松百選」の弓ヶ浜。波も穏やかだから安心。初めてでもシュノーケリングやカヌー、SUPなどを通年で楽しめるのが魅力だ。子ども連れなら弓ヶ浜東の「逢ヶ浜」へ。大潮時期になると沖にある姑岩まで海水が引いて徒歩で渡ることができ(トンボロ現象)、岩を動かすといろいろな生物がひそんでいるから子どもたちもきっと大喜びする。
弓ヶ浜温泉
今井浜、白浜と並び伊豆3大美浜と称される弓ヶ浜。1200mもの美しい弧を描く白砂の海岸は、青野川に流された砂粒が海流に流され帯状になった「砂嘴」という地形。険しい崖が続く南伊豆にあって青い海と松林に包まれたリゾート時間に包まれる。南伊豆町教育委員会の資料によれば、弓ヶ浜周辺や南伊豆町内で弥生時代後期から平安時代の遺跡が発見され、弓ヶ浜海岸周辺でも奈良・平安時代の土師器(はじき)が発掘されている。温泉の歴史も室町時代に遡る。泉質は含塩化土類食塩泉。かつて「鯉名の大港」と呼ばれ風待ち港として栄えた地。頬を撫でる風も歴史ロマンを運んでくる。
日本の「青の洞窟」めぐり
おすすめは堂ヶ島マリン遊覧船でめぐる天然記念物「天窓洞めぐり」。白い凝灰岩でできた天窓洞の地下は蜂の巣のような海蝕トンネルになっており、南口から入る洞窟は長さ147m。中央の天井部分が丸く抜け落ちた天窓から光が射しこむ神秘的な光景は、訪れる季節や時間、天候によって水の色が変化し言葉を失う。まさに青の洞窟だ。ベストシーズンは4月から11月。徒歩観光なら天窓洞を上から見ることができる堂ヶ島遊歩道へ。
堂ヶ島温泉
西海岸随一の景勝地、「日本の夕日百選」にも選ばれた堂ヶ島海岸は、海底火山の噴火に伴う土石流とその上に降り積もった軽石・火山灰層が折り重なって独特の景観を造り出している。海岸に聳え立つ奇岩はマグマの通り道だそうだ。沖合200mにある三四郎島は、伝兵衛島・中ノ島・沖ノ瀬島・高島からなる4つの島で、見る角度により3つにも4つにも見えたりすることから名付けられた。また、干潮時には一番手前の伝兵衛島まで瀬が現れる「トンボロ」という現象にも出会える。潮位が30cm以下でなければ足を濡らさずに歩くのは難しい。泉質は硫酸塩泉で源泉温度は40度、1日300トン以上の湯が湧き上がる。
隠れ宿、九十九折り、浄連の滝
天城の名所といえば「浄連の滝」。駐車場から約200段の階段を下ると深い樹木の中、玄武岩の崖に高さ25m、幅7mの滝が轟音とともに流れ落ちている。約1万7千年前の噴火で流れ出た溶岩が造った景勝だ。青く神秘的な滝壺の深さは15m。山の冷気と水しぶきで真夏でも16度と肌寒い。滝に続く遊歩道の入り口には川端康成の「伊豆の踊り子」をモチーフとする男女の像。滝のそばに常設の天城国際鱒釣場があり、名爆を眺めながらアマゴやニジマスなどの渓流釣りが楽しめる。渓流沿いには天城名物のわさび田、生わさび直営店もあり、名物のわさびアイスも楽しめる。
天城温泉郷(嵯峨沢温泉・吉奈温泉)
伊豆半島中央部の狩野川沿いに点在する温泉、嵯峨沢、吉奈、湯ヶ島、船原、月ヶ瀬を総称して「天城温泉郷」と呼ぶ。自然の放つマイナスイオンたっぷりの温泉郷だ。泉質はナトリウム-硫酸塩温泉。嵯峨沢温泉の開湯は明治時代、京都の嵯峨野を思い起こさせることから名付けられた。吉奈温泉は伊豆最古の湯。奈良時代末期から子宝の湯として親しまれてきた。幕末期に駐日アメリカ合衆国公使ハリスの侍女として仕え、波瀾万丈の生涯を送った「唐人お吉」も晩年の2年を吉奈温泉に逗留している。
写真提供:一般財団法人 美しい伊豆創造センター