日本三名泉のひとつであり、千年を超える歴史息づく下呂温泉。飛驒川の地中深くから湧き上がるｐＨ９・４もの高濃度のアルカリ単純泉は、万人の肌にやさしくなじみ、化粧水さながらに肌を輝かせ、湯情を満たす。
　美人の湯あふれる温泉リゾートとして多くの湯客に愛され続ける水明館。誰もが称賛するその湯心地を存分に満喫できるのが、趣向異なる３つの湯殿、臨川閣３階の『下留（しもどめ）の湯』と飛泉閣９階の『展望大浴場』、山水閣１階の『野天風呂』だ。臨川閣４階には貸切風呂も用意されている。すべての湯船を満たすのは加温なしの天然温泉。すばらしい泉質は千年前と何ら変わらない。
　至福この上ない湯の醍醐味で人気を博しているのが臨川閣の『下留の湯』。大きな窓から庭園を望む檜風呂は、天井から壁、柱に至るまで檜にこだわった豪華な内装で、グループ客がいても気にならないほどの広さ。やわらかで透明な湯に肩まで浸かり、手足を思い切り伸ばせばゆったり気分も倍増、日頃のストレスも忘れるほど。女性客が「トロリとした湯が肌にまとわりついてくるよう…」「肌が湯をはじくよう…」と感嘆する湯ざわりも実感できる。
　場内にはさらに、「交互浴」によって血行促進と疲労回復が図れる高温浴槽と低温浴槽、デトックスやリフレッシュに最適なサウナも用意されている。
　数多くの芸術作品が展示された臨川閣から、端正な日本庭園を眺める飛泉閣、宿の歴史を感じる山水閣と、趣向豊かな館内をめぐりながら楽しむ下呂の名湯。湯の憩いは日本の温泉宿ならではのものだ。

　二十四節気七十二候、日々の明け暮れに彩りを変えていく下呂の自然を眺めながらの湯浴みも趣がある。
　24時間いつでも利用できるのが飛泉閣最上階の『展望大浴場』。天然温泉を満々と湛えた湯船からは、一面ガラス張りの窓越しに下呂の街や季節に移ろう飛騨の山々を眺めることができる。伸びやかな景色に心も晴れる。夜には下呂の街に灯りも瞬く。
　大浴場横にはエステサロン『サロン ド クレール』。シミ・シワ・くすみにアプローチする圧倒的な浸透力のバーユと国産厳選ねんどを使用した「トリートメント」、疲労や腰痛、肩こり、若返り、二日酔い防止などに効果的な「酸素カプセル」、女性特有の症状に効果のある国内産厳選ハーブや岩塩、溶岩も利用した「よもぎ蒸し」が用意されている。
　山水閣には風が運んでくる香に季節を感じる『野天風呂』。男性用「龍神の湯」、女性用「観音の湯」ともに緑の樹木と巨岩に囲まれ、見上げる空が天井だ。薄暮から夜の帳が降りてくる頃の情趣がたまらない。夜には飛驒の星空も瞬く。早朝には野鳥のさえずりを耳に爽快なお目覚め入浴も叶う。

　下呂駅から徒歩３分という観光にも至便なロケーションを誇る水明館。道路側から順に５階建『山水閣』、９階建『飛泉閣』、12階建『臨川閣』、離れ『青嵐荘』の４棟が建ち並んでいる。
　中でも伝統美に彩られた臨川閣は水明館最高峰の雅な空間。幸兵衛窯七代 加藤幸兵衛氏の大作「山懐想」や六代 人間国宝加藤卓男氏のタイル壁画「泉郷に憩う」など美術館にあって然るべき作品が展示され、空間に品格と落ち着きを添えている。絵画のような日本庭園を眺める石橋の間には観世流能楽師 関根祥六師監修による本格的能舞台も備えている。
　客室は全室が温泉風呂と眺め豊かなバルコニーを備え、10・11階の総檜造りの露天風呂付客室と12階のリニューアル特別室４室では源泉掛け流し温泉が楽しめる。食事は全室とも畳間で味わう部屋食。季節替わり会席や名物の飛騨牛しゃぶしゃぶなど極上の美食を堪能できる。12階の貴賓室「蓬莱」と「和合」は、さらにベッドルームやリビング、大理石風呂を備えた２１０㎡もの贅を尽くした空間で、過去には天皇陛下や時の総理大臣も迎えている。

　飛騨の木工技術を用いた木の風合いと温もりを感じるのが６〜８階の和洋室。光が射し込むタイプと、段差の少ないタイプが用意されている。８階にはリニューアル特別室が５室。車椅子でもストレスなく過ごせるオールフラットな造りで、眺望を楽しむ広々としたリビングと和室、ツインベッドルーム、天然温泉の室内風呂を備えている。

　伝統を感じるのが山水閣。１階の源泉掛け流し風呂付リニューアル特別室３室は、時代の温もりや木の温もりを感じる空間で、広縁には飛騨の匠による家具も置かれている。庭を眺めつつ木々の彩りや風の訪れに心を傾ける…、心の赴くままに源泉掛け流し温泉をひとり占めする…。そんな贅沢な日本の宿の楽しみ方がここにある。　
　庭園を見渡す４・５階にはスタイリッシュにリニューアルされた10室の天然温泉風呂付和洋室。幅広い客層向けのフラットな空間は飛騨の自然に溶け込むような内装で深いまどろみを誘う。長期滞在に最適なクローゼットも用意されている。

　日本庭園に佇むのが昭和28年に誕生した数寄屋造りの旅館を復元した離れ『青嵐荘』。命名は巨匠川合玉堂画伯。館内は畳廊下で、１階に木々と岩に囲まれた野天風呂と高野槙の温泉室内風呂を備えた２室、２階に温泉室内風呂と温泉床暖房を備えた３室を備えている。部屋名に因んだ手摺版画の京唐紙や引手、源氏物語54帖に因む香りの符号「源氏香図（紅梅・葵・竹河・夕顔・柏木）」を彫り込んだ透かしなどすばらしい意匠の数々も鑑賞できる。　
　食事は「部屋食」で、その日仕入れた厳選食材を用いた総料理長特別仕立ての料理を堪能する。季節の彩りを目と舌でゆっくりと味わうひとときはまさに至福以外なにものでもない。

　水明館の食事スタイルは、和食、飛騨の郷土料理、フレンチ、中国料理、和洋折衷料理の５つ。
　「部屋食」は臨川閣の客室で。食材の持ち味を生かしつつ、五味・五色・五法を基本として仕上げた日本料理の真髄を味わえる。京都の料亭で腕を磨いた総料理長の包丁技、器選び、盛り付け、どれを取っても感服する。心ゆくまで堪能したい。
　『料理茶屋 北乃寮』では飛騨の郷愁を感じる個室座敷で、飛騨の旬の食材を使用した会席料理を堪能できる。特産飛騨牛や飛騨納豆喰豚、山菜やきのこなどの季節の恵みはどれも絶品だ。地酒が似合いそうな囲炉裏端なども利用できる。
　肩の凝らない雰囲気と本格的な料理で迎えてくれるのが『欧風レストラン バーデンバーデン』。おすすめは「ゲリドンサービスディナー」。フランス・ノルマンディー地方のルーアンに伝承される郷土料理「仔鴨のルーアン風」を「メートルカナルディエ」という資格を持つスタッフのサービスで贅沢に楽しめる。『チャイナルーム 龍遊里』で堪能できるのが新スタイルの中国料理「ヌーベルシノワ」。１日２組限定のプレミアムディナー「極み」は料理長の特別メニュー。早めの予約が必要だ。
　調理人たちの熱気に満ちた『ダイニング常磐』では和洋それぞれのオープンキッチンから届く料理を堪能できる。朝食でも岐阜産牛乳と地卵を使ったフレンチトーストなど和洋約30種の料理が楽しめる。このほかにも「ぎふジビエ加盟店」ならではのジビエ料理が各レストランのおすすめメニューに加わっている。
　無限といっていいほどの魅力に満ちた水明館。下呂観光や各種体験を加えればスペシャルな休日が叶う。