特集
唯一無二の三温泉地
400年以上の歴史を刻み、万葉集に9首の歌が詠まれるほど歴史の古さを物語る伊香保温泉。四万もの病を癒す温泉、特に胃腸に効く温泉として名高い島温泉。秘湯の一軒宿として知られ、湯船の底から有効成分が失われることなく湧き上がる温泉が楽しめる法師温泉。いずれ劣らぬ群馬県の名湯である。
伊香保温泉
約1900年前の榛名山二ツ岳の火山活動によって湧出した伊香保温泉。榛名山北東斜面に広がる温泉街は400年以上前から形成されている。泉質は茶褐色で「黄金の湯」と呼ばれる硫酸塩泉。
伊香保には小満口という伊香保独特の階層構成から生まれた制度があり、1㎞ほど離れた源泉から伊香保神社の下まで木製の導管で温泉を引き、そこから14軒の温泉所有権者に分配されてきた。現在では9軒の所有者が伝統ある茶褐色の源泉「黄金の湯」を守るべく、適正使用を定めて組合で管理している。人気の石段街にはその宿を示す十二支も刻まれている。
法師温泉
新潟県境に近い三国峠の山麓、標高約800mに位置する一軒宿が法師温泉長寿館。「日本秘湯を守る会」「日本源泉湯宿を守る会」「日本文化遺産を守る会」の会員である。明治の面影を残す鹿鳴館風の大浴場には、平安時代に弘法大師が発見したと伝わる法師の湯が浴槽に敷き詰めた玉石の下から湧き上がっている。その感覚がなんとも心地良い。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉と単純泉。国有形文化財の本館と別館などにも圧倒される。
四万温泉
三方を山に囲まれた四万川上流沿いの温泉地。江戸時代初期にすでに温泉宿があり多くの湯治客を集めた。豊かな緑と渓谷美に恵まれ、標高約800mの高地にあることから夏は避暑地としても賑わう。源泉は42カ所あり、内39カ所が自然湧出している。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。温泉街は木造建築のレトロな旅館や近代的なホテルが建ち並び、商店街には昔懐かしいスマートボール場などもあって情緒たっぷりの町歩きが楽しめる。
四万温泉+αの旅提案
佛光山法水寺
伊香保温泉から水沢へと向かう県道沿いにあるのが台湾に総本山を置く臨済宗の寺院「佛光山法水寺」。
目に飛び込んでくるのが山門へと続く238段の階段。榛名山を背景に建つ「大雄宝殿」に鎮座しているのは、ミャンマーの白い一枚岩に彫刻された純白の大仏様・釈迦牟尼仏。山門から拝むと金色に輝いて見える。また、「慈悲宝殿」では中国の世界遺産「莫高窟」の壁画を元に台湾の女性芸術家が立体的に復元した「十一面千手観音菩薩」を拝むことができる。境内のカフェ「滴水坊」では肉や魚を一切使っていない料理やタピオカミルクティー、台湾風白玉団子「湯圓」などのグルメを満喫できる。
四万温泉+αの旅提案
絶景「四万ブルー」
四万温泉でぜひ訪ねたいのが、神秘的な青い水の色「四万ブルー」の奥四万湖と四万湖だ。どちらもダム湖だが、豊かな大自然に彩られて絵のように佇んでいる。四万ブルーがなぜこんなに青いのか諸説があるようだが、百聞は一見にしかずである。四万ブルーが特にきれいな季節は冬から春にかけて、湖面に日が射している日の午前中で、際だった青さになるのが、冬から雪融け水が流れ込む5月までと紹介されている。湖上でのカヌー経験も用意されており、乗った人によればまるで宙に浮いてるような錯覚にとらわれるという。
水上へはSLレトロぐんま水上号で
水上温泉へ昔懐かしいSLの旅を楽しむのはいかがだろう。土曜日中心の列車ダイヤだが、JR上越線高崎駅と水上駅間約59㎞を約2時間かけて走る「SLレトロぐんま水上号」が運行されている。車両は「デゴイチ」の愛称で親しまれたD51に加え、C61も復活。高崎駅では2台のSLをイメージした「上州D51弁当」や「SLロクイチ物語」が販売されているので乗車前にお忘れなく!
水上温泉
貴重な自然が数多く残された利根川源流の町。歴史ある温泉郷には8つの温泉地が点在する。温泉街には昔ながらの土産屋や遊戯場、飲食店などが並ぶ。泉質は単純温泉・硫黄温泉。
夜間ライトアップされる「水上峡」、その下流の景勝地「諏訪峡」、関東の奥入瀬渓流と呼ばれる「照葉峡」など水とふれあえる観光スポットが多いことから、みなかみ町では地域ぐるみで「水」をテーマにみなかみの水の持つ価値を遊び、学び、食すという体験プログラム「みなかみウォーターツーリズム」を発信・実現している。
谷川温泉
標高1977mの谷川岳南面、清流が流れる自然豊かな温泉地。仰ぎ見ると谷川岳の俎嵓が見える。美しい自然と町の景観の融合を図る意味から、条例によって家の屋根や壁の色にまで配慮している。温泉の歴史は古く江戸時代に遡る。現在の源泉は16カ所あり、谷川岳の雪解け水が地中で温められ、恵み豊かな温泉となって湧き出している。泉質は単純泉、アルカリ性単純泉。
草津温泉
志賀・草津高原ルートの開通、スキー場やゴルフ場、コンサートホールなどの整備によって利便性を高めた草津では、さらに湯畑の整備や新たな観光スポットとしての裏草津の造成、草津温泉門の新設など、将来を見据えた街づくりを進めている。温泉は明治11年にドイツの医学者ベルツ博士が訪れ、湯の薬効を高く評価し、理想的な高原療養温泉として世界にも紹介した高温の強酸性泉。泉質は酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)で、湯畑ほか100カ所以上の源泉から湧出する温泉は毎分3万2千リットル。自然湧出量も日本一である。
草津温泉+αの旅提案
ニュースポット裏草津散策
「湯畑」から歩いて2~3分の所にある共同浴場「地蔵の湯」周辺を再整備して誕生した新たな観光スポットが「裏草津」だ。湯畑からすぐにあるのが、普段とは違った角度で湯畑を眺める「展望デッキ」。温泉は展望デッキ近くの地蔵源泉の貸切風呂「伝統湯 地蔵」へ。その付近にあるのが足湯や「顔湯」、3つの「手洗乃湯」。顔湯の真下には地蔵源泉が流れており、箱の中を覗き込むと温泉の蒸気があたる仕組みだ。階段を上がると所蔵約1万冊の「漫画堂」。中央の本棚には、赤塚不二夫、ちばてつやなどレジェンド漫画家のイラストも大集合している。近隣にはカフェ「月の貌」や体験プログラムが揃う「百年石別邸」、高台広場も誕生している。
スーパーダイエット合宿「MANZAP」
ダイエットやアンチエイジング、健康増進をめざすのに最高の環境が整う万座温泉「日進舘」。アメリカスポーツ医学会認定エクササイズフィジオロストで運動整理学士の資格を持つパーソナルトレーナーによる短期集中プログラムに参加できる。
エネルギーを製造させるために必要な「ミトコンドリア」を増やし活性化させるための高地トレーニング(低酸素トレーニング)。老化した毛細血管を拡張させ細胞の隅々まで酸素や栄養を行き渡らせ、細菌やウィルスを除去する「硫化水素」を取り込むための温泉入浴。ミネラル「ケイ素」を取り込んで活性化させるための「ケイ素浴サウナ」。そして座りすぎで歪んだ脊柱を整える運動を組み合わせたプログラムだ。
万座温泉
海抜1800m。上信越高原国立公園内の高山温泉だ。泉質は酸性硫黄泉(硫化水素型)。1日に約540万リットル、約80度の高温の温泉が自噴している。標高1000mを超えると身体の抵抗力や免疫力が向上し、自然の中で過ごすだけでも細胞の新陳代謝が活発になる。女性の悩みのメラニンの代謝もサポートされ、温泉に繰り返し入ることでシミやクスミも解消される。まさにダブル・トリプルの効果を得ることができる温泉だ。リピーターが数多い。
赤城神社・榛名神社・妙義神社~上毛三社めぐり
磯部温泉を拠点に由緒ある赤城・榛名・妙義の上毛三社を参拝するのはいかがだろう。1400年の歴史ある「榛名神社」は山岳信仰・神仏習合の霊場。また、赤城姫と淵名姫の伝説が残る「赤城神社」は縁結びや子授け、安産など、女性の願いが必ず叶うといわれる神社。そして、奇岩の景勝で知られる妙義山の東麓に鎮座し、信仰の中心にもなっている「妙義神社」は出世運・上昇運・生命力・統率力アップなどのご利益があることで信者を集めている。御朱印帳は必需品だ。
磯部温泉
日本三奇勝の妙義山を望む碓氷川沿いの温泉地。温泉記号発祥の地であり、明治の児童文学者・巌谷小波が「舌切雀」を書き上げ、児童文学として現代に残したことにより舌切雀伝説発祥の地とされている。
泉質は塩化物泉。群馬県南西部にあって足回りが良く、世界遺産の構成資産「富岡製糸場」や群馬サファリパーク、峠の釜飯で知られる横川、軽井沢などへも好アクセス。ドライブ観光にはまたとない立地だ。
写真提供:公益財団法人 群馬県観光物産国際協会(観光ぐんま写真館)