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【第11回】田園風景広がる温泉地、由布院温泉の魅力とは?

 大分空港から車で約1時間、大分県の中央部に位置する由布院温泉は、豊後富士(ぶんごふじ)の愛称で親しまれる「由布岳」の麓に広がる自然豊かな温泉地。標高約500メートルの高地にあることから避暑地としても人気が高く、環境省の国民保養温泉地に指定されています。約850の源泉数、毎分3万8500リットルの湧出量共に全国2位と豊富な湯量を誇るため、温泉宿が密集する必要がなく、ゆったりと落ち着いた町の雰囲気に魅了される人も多いことでしょう。

雄大な由布岳が望める露天風呂(山のホテル夢想園)

 泉質は単純温泉(アルカリ性含む)。単純温泉は刺激が少なく、お湯にくせがないため、子どもから高齢者まで幅広い年齢の人や、敏感肌の人も安心して入浴できます。中でもpH8.5以上のアルカリ性単純温泉は、保湿効果が期待できるメタケイ酸が豊富で、なめらかな湯触りが特徴の“美肌の湯”としても知られています。

 多くの温泉宿が露天風呂付きで、風呂から自然を眺めるのが由布院温泉ならではの楽しみ方。晴れた日に望むダイナミックな由布岳、秋冬の早朝に浮かぶ幻想的な朝霧など、自然や季節の移ろいを間近で感じることができます。

真っ白な朝霧に包まれる由布院盆地

 由布院のシンボルとなっているのが、辻馬車で観光地を巡る「観光辻馬車」。1975年の大分県中部地震によって途絶えた客足を復活させるべく立ち上げられたのが始まりで、今年7月に運行50周年を迎えました。町中を巡る馬車は全国的にも珍しく、風景の一部として欠かせない存在。雄大な里山をバックに駆ける姿がカッコいい。

 盆地を舞台に開かれる多彩なイベントも由布院の魅力。クラシックを室内楽で楽しむ「ゆふいん音楽祭」が毎年7月、現存する日本映画祭の中で最も古い歴史を持つ「湯布院映画祭」が毎年8月に開催されます。クラシックに、音楽にと盛り上がる夏の由布院も見逃せません。

由布院のシンボル「観光辻馬車」

 一方、ユニークな秋の名物行事として親しまれているのが、地元で育った「ゆふいん牛」のバーベキューを楽しんだ後、参加者が思いの丈を叫んで声の大きさや内容を競う「由布院牛喰い絶叫大会」。新鮮なゆふいん牛を求めて、毎年約600人が集まります。

 大会の始まりは湯布院町の地域振興運動。当時の由布院は経済的に苦しく、畜産農家が経営難のため放牧地を手放さざるを得ない状況から打開しようと、全国に牛のオーナー募集を呼び掛ける「牛一頭牧場運動」を立ち上げました。そこで集まったオーナーを招待してバーベキューを開いたことを機に、絶叫大会が誕生したんだそうです。

 音楽祭、映画祭、絶叫大会は、観光辻馬車とともに50周年の節目を迎えました。イベントの歴史を知ることで、由布院温泉の魅力を違った角度から感じられるのではないでしょうか。

声量だけではなく発声内容のユニークさも審査対象となる

 由布院温泉は周囲を1,000m級の山々に囲まれた盆地にある温泉地で、その自然豊かな象徴でもある「金鱗湖(きんりんこ)」は、湖底から清水が湧き、温泉が流れ込む珍しい湖。そのため、1年を通して水温が高く、外気が下がる秋から冬にかけては湖面から霧が立ち上る幻想的な光景が見られます。この時期の風物詩である、盆地を包み込むとりわけ美しい朝霧の正体は、この温泉を含んだ湖が蒸気したものとも言われています。周囲は約400m、遊歩道も整備されているので、ゆっくりと散策を楽しんでみては?

 もう一か所、散策スポットでオススメなのが、通りを1本外れた大分川沿いの道。四季折々の景色が楽しめ、春には桜や菜の花、冬には雪解けの由布岳など、由布院ならではのどかな雰囲気が癒やしポイント! 何度でも町に足を運びたくなります。

金鱗湖にある佛山寺の鳥居

【基本情報】
・住所:大分県由布市湯布院町川上1561-1
・ホームページ(由布市まちづくり観光局):https://yufu-tic.jp/shiori/444/
・問い合わせ:TEL:0977-84-2446(由布市ツーリストインフォメーションセンター、営業時間 9:00~17:30)

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