人気温泉旅館ホテル250選に5回以上入選の宿 特集記事

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特集

日本秘湯を守る会会員であり、5つ星の宿

鶴の湯温泉

 秋田県の「鶴の湯温泉」は乳頭温泉郷最古の温泉場であり、発見は1708年(宝永5年)とされる。秋田藩藩主が泊まったといわれる本陣は登録有形文化財に指定されている。宿へはJR秋田新幹線田沢湖駅から1時間に1本の定期バスで向かうが、連絡すれば宿が降車バス停まで迎えにきてくれる。鶴の湯には白湯、黒湯、中の湯、滝の湯という4種類の泉質異なる源泉があり、硫黄香の強い白湯は混浴露天風呂に注がれている。別名「冷えの湯」とも呼ばれる美人の湯である。黒湯は「ぬくだまりの湯・子宝の湯」、中の湯は「眼っこの湯」、滝の湯は打たせ湯と、湯の役割が異なる。

法師温泉長寿館「法師乃湯」

 群馬県法師温泉の「長寿館」は弘法大師の発見と言い伝えられている。温泉を譲り受けた先祖が建てた本館(明治8年築)、混浴大浴場「法師乃湯」(明治28年築)、別館(昭和15年築)は登録有形文化財に指定されている。

 法師乃湯は寄棟造りで屋根は杉皮葺き。アーチ型の窓が特徴の鹿鳴館風の木造建築で湯船が4つあり、それぞれの浴槽には丸太が渡され、そこに頭を乗せながら浴槽の下から湧き上がる生まれたての源泉が楽しめる構造になっている。全国的にも稀少な足元湧出温泉である。かつての国鉄「フルムーン」の広告で見たままの空間がそこにある。

 もう一つが法師乃湯のデザインを踏襲して2000年に本館に造られた総檜造りの「玉城乃湯」。本館には時代の趨勢にも応えた施設も誕生しているが、創業の頃のままの玄関が迎えてくれる。

 鶴の湯温泉と法師温泉長寿館は「日本秘湯を守る会」会員であり、しかも5つ星の宿。鶴の湯温泉は「5つ星の宿プレミア」としても表彰されている。日本秘湯を守る会の精神は「旅人の心に沿う秘湯は人なり」。日本人の心の奥底にある懐旧の気持ちが旅心を誘う。

湯宿に荷を解き、歴史を紐解く

酸ヶ湯温泉旅館

 青森県八甲田山中の一軒宿「酸ヶ湯温泉旅館」は1684年(貞享元年)の創業。楽しみは総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」だ。160畳もの浴室では熱の湯、冷の湯、四分六の湯、湯滝の4つの源泉があふれかえる。小浴場「玉の湯」では白濁の硫黄泉も楽しめる。

 海抜約900mにあって雲上の霊泉とも称される酸ヶ湯温泉は、紫外線やアレルゲンが少ない清らかな空気と高地気候の作用が相まって、3廻り10日で万病に効果が現われるといわれている。5つの源泉は金属が溶けるほど強い成分の酸性・含硫黄泉。療養泉として効能が認められているが、温泉療養を要する場合は温泉療養相談室に要相談だ。

旅館玉子湯

 福島県高湯温泉の「旅館玉子湯」は400年間、絶え間なく自然湧出し続ける白濁掛け流し源泉「玉子湯」で知られ、山形の蔵王温泉、白布温泉とともに「奥州三高湯」と呼ばれる源泉だ。その名も温泉に入ると肌が玉子のように滑らかになることと、匂いがゆで卵に似ていることに由来する。湯処は7種類。中でも藁ぶき湯小屋の「玉子湯」は明治元年築、150年間風雪に耐え続けてきた宿自慢の湯小屋。何とも味わい深く、かつての湯治場を思わせる。

湯元齋藤旅館露天風呂「鬼が城」

 中里介山が長野県白骨温泉「湯元齋藤旅館」に投宿した際に着想を得たといわれるのが「大菩薩峠・白骨の巻」。その昔は温泉成分が湯船に付着して白くなることから「白船」と呼ばれていた温泉地名が、介山が「白骨」と書いたことでいつしかその名が定着した。「白船グランドホテル」はこの地でその名を残す唯一の宿であり、また、露天風呂は硫化水素泉、内湯は炭酸水素塩泉とこの地で唯一、2つの源泉が楽しめる宿でもある。

白船グランドホテル

船で行く宿。峡谷を越えていく宿

大牧温泉観光旅館

 コロナ禍前の時点で外国人観光客数が年間1万人を超えたのが富山県庄内峡だ。外国人がもっとも多く訪れるのが、庄内峡(ダム湖)の両岸が雪で覆われて情緒を増す1月から3月にかけてだそうだ。その岸壁に建つ一軒宿、大牧温泉「大牧温泉観光旅館」を楽しみに訪れる人も後を絶たない。庄川の底から湧き上がるのは塩化物泉と硫酸塩泉が混ざった「庄川清流源泉」。野趣あふれる露天風呂や眺めのいい大・中浴場にたっぷりと掛け流されている。温泉に浸かって何もしないで過ごすのがこの宿での最高の贅沢だそうだ。ウグイやニジマス釣りも非日常な体験だ。

ホテル浦島 忘帰洞

 船で渡る宿がもう一軒。和歌山県那智勝浦港から専用船で向かうのが狼煙半島を独占する「ホテル浦島」だ。山頂にはパノラマチックなリゾートライフを演出する山上館。154mものエスカレーターで降りれば、半島地下に大きな洞窟が露天風呂が浴槽になった「望帰洞」と「玄武洞」。リアス式ならではのゴツゴツした空間に荒波がザブーンと響く。波打つ温泉は敷地内5本の源泉から集めた混合泉である。

ホテルかずら橋

 ケーブルカーで登った先に絶景の天空露天風呂が待ち受けるのが徳島県新祖谷温泉の「ホテルかずら橋」だ。峡谷や山々に遮られ外部との往来が困難だった祖谷には独特の景勝地がある。例えば、深く切り込んだV字型の祖谷渓は眼下にメラルドグリーンの祖谷川が流れ、覗き込めば眼が眩むほど。断崖には度胸試しに使われた岩が突き出し、小便小僧像が建っている。国選定重要伝統的建造物群保存地区の落合集落は高低差は約390mにも及び、急傾斜地に江戸中期から昭和初期に建てられた民家や石垣などが残る。その光景は山村の原風景そのものだ。

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