人気温泉旅館ホテル250選に5回以上入選の宿 特集記事

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 日本では10泉質が「療養泉」として認定されている。10泉質の内、単純泉と二酸化炭素泉、炭酸水素泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、放射能泉の7つが含まれているのが有馬温泉の「金泉」で、世界的にも非常にめずらしいといわれている。日本書紀にも登場する温泉だ。5つ星の宿では「有馬グランドホテル」、その姉妹館の「中の坊瑞苑」「兵衛向陽閣」「欽山」で金泉が楽しめる。

地獄谷の温泉と、太古の植物から生まれたモール温泉

北海道登別温泉「第一滝本館」の地獄谷を一望する男性展望風呂

 5つ星の宿で多泉質の温泉が一度に楽しめる代表的な宿が、北海道登別温泉の「第一滝本館」。男女合わせて1,500坪、35もの浴槽をめぐりながら、硫黄泉、芒硝泉(硫酸塩泉)、食塩泉(塩化物泉)、重曹泉(炭酸水素塩泉)、酸性緑ばん泉(含鉄泉)の5泉質が満喫できる。地獄谷から温泉を引いている登別温泉では「滝乃家」が食塩泉と鉄泉(含鉄泉)、ラジウム泉(放射能泉)、硫黄泉の4泉質、「登別グランドホテル」が硫黄泉、食塩泉、鉄泉の3泉質を楽しめる宿として知られている。鉄泉が楽しめるのは北海道の宿に多い。

鉄泉/北海道登別温泉「滝乃家」

 地域特有の温泉が北海道十勝川温泉の「モール温泉」である。遥か太古の時代に自生していた葦などの植物が長い時間をかけて堆積して出来た亜炭層をくぐり抜け湧き上がっている温泉だ。湯の色は澄明な褐色系で、泉質は泥炭(亜炭)などに由来する腐植物(フミン質)を含むアルカリ性の湯。美人の湯としても人気を呼んでいる。5つ星の宿では「十勝川温泉第一ホテル」とその姉妹館「三余庵」「観月苑」で楽しめる。

放射能泉が国宝級の村杉温泉と日本トップレベルの鞆の浦温泉

ラジウム温泉(放射能泉)/新潟県村杉温泉「風雅の宿 長生館」

 ラジウム泉あるいはラドン泉とも呼ばれるのが放射能泉。その恩恵に浸れるのが新潟県村杉温泉の「風雅の宿 長生館」だ。昔から「医者いらずの湯」と呼ばれてきた村杉温泉は、大正時代にすでに日本有数のラジウム泉であることが立証され、成分の高さや湧出量の多さから「国宝級の温泉」として高く評価されてきた。敷地内の土壌に含まれるラジウム泉は分解されて温泉水や空中に融け込んでラドンになる。長生館の湯はそのラドン含有率が日本トップレベル。しかもラドンや微量の放射線によって肉体が本来備えている自然治癒力を活性化させる「ホルミシス効果」が高い。浸かって飲んで吸って、それだけで放射能泉の恩恵に浴すことができる。5つ星の宿で放射能泉を楽しめるのは他に広島県鞆の浦温泉だ。鞆の浦温泉の「鷗風亭」でも日本トップレベルの放射能泉を多彩な浴槽で満喫できる。

 温泉法が定めた10の「療養泉」を以下にまとめている。どのような効能があるのかを理解しながら、お好みの泉質の旅を楽しんでいただきたい。

温泉法に定められた10の「療養泉」
泉質 特徴
①単純温泉 肌触りが柔らかく、癖もなく肌への刺激が少ない
②二酸化炭素泉 日本には比較的少ない泉質。炭酸泡が付着して爽快
③炭酸水素塩泉 ナトリウムやカリウム、マグネシウムが多く含まれ、清涼感
④塩化物泉 日本では比較的多い泉質。塩分が主成分。塩辛い・にがい
⑤硫酸塩泉 中風(脳卒中)の湯と呼ばれている。白濁色や黄色で硫黄臭
⑥含鉄泉 鉄分を多く含んだ温泉。赤褐色・茶褐色・緑褐色・黄褐色等
⑦含よう素泉 日本には比較的少ない泉質。ミネラル豊富な鉱泉
⑧硫黄泉 日本では比較的多い泉質。白濁色や黄色で硫黄臭
⑨酸性泉 強い酸性殺菌力が高い。肌がピリピリする・すっぱい
⑩放射能泉 ラドン温泉。人体に良い影響を与える微量の放射能

アルカリ性単純泉(単純泉)/三重県鳥羽本浦温泉「サン浦島悠季の里」

炭酸水素塩泉/熊本県人吉温泉「あゆの里」

塩化物泉/山形県湯野浜温泉「游水亭いさごや」

硫酸塩泉/山形県かみのやま温泉「古窯」

硫黄泉/長野県別所温泉「旅館花屋」

酸性泉/福島県岳温泉「陽日の郷あづま館」