特集
お城をぐるり
堀川遊覧船
玉造温泉
山陰の小京都とも呼ばれ、北に日本海、南に中国山地を擁する城下町、松江。古地図を見るとお堀が松江城を中心に縦横に張り巡らされていること、宍道湖から流れ出す大橋川が町を大きく南北に分けていること、大橋川の北側の城を中心にしたエリアに武家町が整備され、中州を含む南側に町人町や寺町が広がっていることがわかる。町割りも当時と大きく変わることなく今に至っている。その感覚を体験できるのが松江城を囲むお堀を約50分かけてのんびり一周する「堀川遊覧船」。城の大手前から出発して、武家屋敷の並ぶ塩見縄手沿いを進み小泉八雲旧居や小泉八雲記念館を横目に見ながら、時には橋の下を低い姿勢で潜り、水面から町を見学。人の暮らしと水がもっと身近だった時代を容易に想像できる。
NHKの連続テレビ小説「ばけばけ」で「シジミ汁は松江人の血液ぞ!」と語るシーンがあったが、松江のソウルフードといえば一も二もなくシジミ。宍道湖のシジミ漁のシーズンは4月1日から12月31日まで。朝靄の広がる宍道湖に向けて小船を漕ぎだした漁師が鋤簾(じょれん)と呼ばれる長い柄のついたカゴを操って湖底のシジミを掻きとる様子はなんとも趣があって一見の価値がある。かつては宍道湖畔に立って朝日を拝み、大社さん(出雲大社)に向かって柏手を打つのが松江の朝の当たり前の風景だったとか。夕暮れの宍道湖の情景も必見。絶好の夕景ポイントは島根県立美術館で、刻一刻と表情を変える空と水面の色彩にきっと言葉を失うことだろう。小泉八雲も宍道湖に沈む夕陽を眺めるのが楽しみの一つでその印象を初の著書に記している。
泊まるならココ
・かがり火揺れる日本庭園とエリア最大級の湯殿『ホテル玉泉』
・由緒正しきおもてなしで満足感を演出『佳翠苑皆美』
出雲大社の正しい参拝方法
松江来訪の折には出雲大社に詣でる方も多いと思うので正しい参拝方法をここで。参拝時には「二拝四拍手一拝」を忘れずに!
①勢溜(せいだまり)と二の鳥居
境内南端にある「勢溜の鳥居」が正門となり、参道の入り口にあたる。鳥居の前では一礼を忘れずに。
②祓社(はらえのやしろ)
祓戸神(はらえどのかみ)四柱の神々を祀る「祓社」に立ち寄り、参道を進む前に心身を清めてもらう。
③下り参道
御本殿へと向かう参道は全国的にも珍しい下りになっている。参道の中央は神さまが通るので両端を歩く。
④手水舎
御本殿を参拝する前に、両手と口をここで清める。口をすすぐ際は、必ず手のひらに注いだ水を口に入れる。
⑤銅鳥居
国内最古で、わが国の重要文化財にも指定される「銅鳥居」は、境内の入り口となる4番目の鳥居。
⑥素鵞社(そがのやしろ)
御本殿の背後に鎮座し、大国主大神(おおくにぬしのおおみかみ)の親神にあたる、須佐之男命(すさのおのみこと)をお祀りしている古社。
⑦拝殿
日頃の感謝や祈願を捧げる場所。「遷宮」の間は、大国主大神をお祀りする仮の御殿とされている。
⑧御守所
最後に立ち寄りたいのが「御守所」。3カ所ある。ゆっくり参拝して約1時間ほど。
藩主の茶室で
お抹茶のおもてなし
はぎ温泉郷
「一楽、二萩、三唐津」と呼ばれ、茶の湯の世界で好まれる萩焼。その特徴は土と登り窯だ。大道土、金峯土、見島土と3種類の原土を合わせて成形し、登り窯でじっくりと焼くことで柔らかくふっくらした質感に仕上がるが、土に吸水性があるため表面に「貫入」と呼ばれる細かいひび模様が入る。その貫入に茶などが染み込み、色合いが変化して侘び寂びに通じる味わい深さが感じられるようになる。茶人たちはそれを「萩の七変化」と呼んで愛でてきた。長州萩藩13代藩主毛利敬親公ゆかりの茶室 「花江茶亭(はなのえちゃてい)」では、通常は非公開だが不定期で茶室を特別に開庵し、呈茶席を実施している。由緒ある茶室で楽しめるのはその萩焼のお茶碗での抹茶のおもてなし(萩の夏みかん菓子付き)である。萩焼体験に興味があるなら、萩焼作家との作陶体験はいかがだろう。堀内地区に位置する「波多野指月窯」は、 波多野善蔵と英生の親子二代が萩焼作家として活躍する窯元。 蹴りろくろ成形で精神集中、登り窯焼成にこだわり、唯一無二の萩焼づくりが体験できる。
泊まるならココ
・萩城下町を見渡すランドマーク『源泉の宿 萩本陣』
・和と洋が融け合う滞在を多彩に演出する宿『萩城三の丸 北門屋敷』
ビール片手に街散策
輸入車で角島ドライブ
長門湯本温泉
地元民の誇り、公衆浴場「恩湯」を中心に温泉街全体がリブランディングされた長門湯本温泉。街のコンセプトは「オソト天国」。竹林の階段から音信川沿いの道まで、ひとつながりの空間としてくつろげるようにテラスや遊歩道が整備され、川には左岸と右岸を自由に行き来できる飛び石や沈下橋が設置され、街歩きへと心が騒ぐ。川沿いにはイタリアンやオーセンティックバー、カフェ、ケーキやプロダクツを提供するカフェ・ショップ、萩焼のギャラリーカフェ、郷土料理の瓦そばなどの店があり、湯上がりにもビールを片手にそぞろ歩きしたくなる。代表的なイベントは長門市出身の童謡詩人「金子みすゞ」の詩をテーマとした灯りイベント「音信川うたあかり」。源泉が湧く大寧寺での坐禅体験や古地図で街をめぐる体験なども用意されている。
街歩きのみならずドライブの魅力も尽きない長門湯本温泉。ドイツ車のミニやフランス車のルノーなど輸入車を完全予約制でレンタルできる「おとずレンタカー」も用意されている。おすすめは、下関市と角島を結ぶ全長1780mの角島大橋。コバルトブルーの海に延びる絶景橋を爽快に駆け抜け、ゆるやかなカーブを走ると海と一体になるような浮遊感が楽しめる。日本海の荒波に浸食された奇岩や洞門が山のように聳え立ち、別名“海上アルプス”とも呼ばれる青海島へもぜひ。絶景を間近に眺める遊覧船も楽しめる。
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豊かな自然と共生しつつ進化する『大谷山荘』
室町、維新の名残
中也・山頭火の詩
室町時代には京都や堺、博多などと並んで栄えた山口市。この地を治めていた大内氏が京都になぞらえて建設した町並みは美しく、国宝瑠璃光寺五重塔や常栄寺雪舟庭など名所旧跡が数多く残る。市内中心部に位置する湯田温泉は1日約2000トンの天然温泉(pH9・14のアルカリ単純泉)が湧き上がる温泉地。幕末には高杉晋作や伊藤博文、坂本龍馬ら維新の志士たちも浸かったという。日本のランボーといわれる詩人中原中也も湯田温泉生まれ。記念館が賑わう。漂泊の詩人種田山頭火も湯田温泉にゆかりある人物だ。
