特集
新スポット
萬松園あいうえおの杜、誕生
山代温泉
2025年に開湯1300年を迎えた山代温泉が、「加賀温泉郷 山代温泉 古総湯と湯の曲輪」として「クールジャパンアワード2025」を受賞した。審査は世界各国の“日本好き”な外国人審査員によって行われ、山代温泉の伝統文化・街並み・温泉情緒が高く評価されたもの。その発表よりひと足早い8月に温泉街の緑豊かな里山に誕生したのが、五十音発祥の地にちなんだ自然体験型施設「萬松園(ばんしょうえん)あいうえおの杜」だ。園内はアイウエオ順に「あいうえお舎」「かいろう」「さざえ堂」「たか台」「なかにわ」「はな畑」「まいかーキャンプ場」「やがい広場」「らっぱ池」「わをんコテージ」からなり、園内を自由に回遊しながら過ごせるのが魅力で、手ぶらで来ても心休まる一日が満喫できる。見どころは360mの空中回廊を歩き切った先に広がる「もりの雲海」だ。マイカーで行っても100V電源付車中泊キャンプ場が利用できる。夕暮れには浴衣で総湯など温泉情緒豊かな街歩きを楽しみ、翌日は自然の中で伸びやかに過ごす、そんな新しい山代温泉の過ごし方が始まっている。
泊まるならココ
・湯の曲輪に建つ魯山人ゆかりの宿『たちばな四季亭』
・2源泉の一泊三湯十八ゆめぐりが楽しめる『ゆのくに天祥』
・和モダンの趣の『瑠璃光』
・自然の心地よさに満ちた和の宿『葉渡莉』
「恋のしらやまさんきっぷ」で白山めぐり
金沢犀川温泉
金沢から北陸鉄道石川線に乗って、全国3千社の総本宮・白山比咩神社(しらやまひめ神社、通称しらやまさん)にお参りし、千年の門前町・鶴来(つるぎ)の町並みや高原、文化、グルメ、パワースポットなどが堪能できるのが「恋のしらやまさんきっぷ」。電車の乗車券の他にバス乗車券、レンタサイクル券、和菓子券、辻占券、開運散策マップ、白山比咩神社での恋文奉納キットなどが含まれている。鶴来駅に着いたら電動アシスト付自転車でスタート。最初の行き先はパラグライダーの拠点として知られる標高650mの獅子吼(ししく)高原。山頂からは広大な加賀平野と手取川の扇状地帯のパノラマ風景や、アルプス連峰、日本海が一望できる。
白山比咩神社の本殿までは煩悩の数と同じ108段の階段が続く。樹齢千年の杉やあすなろがそびえる表参道や境内は荘厳な雰囲気そのもの。ご祭神の女神・菊理媛尊(くくりひめのみこと)は縁結び・和合の神様だから、若い貴女なら恋文奉納もお忘れなく。多くの参拝客が行き交う表参道周辺では大判焼きの店をはじめ、江戸時代から6代続く糀製造店、日本酒のほか特産の紅映梅と白山の自然水で漬け込んだ梅酒も販売する江戸享保年間創業の酒造、和菓子券が使える創作和菓子店などをめぐれる。仕上げに訪れたいのが磁場と運気のパワースポットとして知られる北陸最古の神社金劔宮(きんけんぐう)。古くは劔宮(つるぎのみや)と呼ばれ、鶴来の地名の由来になった神社だ。本殿に参拝する際は「男段」から上り「女段」から下りるのが正式な参拝方法なのだそう。白山信仰が息づく鶴来への小トリップ。なかなかできない経験だ。
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2つの滝を眺める『川端の湯 滝亭』
山中漆器の技を五感で体験
山中温泉
山中漆器は安土桃山時代に諸国山林伐採許可状を持った職人集団が良い材料を求めて山中温泉上流の集落に移住したことから始まり、彼らが「ろくろ挽き」を行って生計を立てたことでその技術が定着。江戸時代中期には湯治客にお椀やお盆、土産用の遊び道具を作って売るなどして山中温泉の繁栄とともに発展してきた。
江戸文化年間には木地に筋を入れる「加飾」の技術が編み出され、さらに19世紀前半には京都や会津、金沢などから塗りや蒔絵の技術を導入し、山中独自の伝統技法が開発された。繊細な加飾挽きや優雅な蒔絵の美しさはその芸術的価値が認められるばかりか、親しみのある大衆的な塗り物としても人気がある。
その製作工程を目の前で見ることができる体験ツアーが用意されている。素材そのものが職人たちの手によって変化していくストーリーを3つに分け、分業ごとに職人の工房数カ所を案内人とめぐるプログラムだ。その3コースとは、木地師の技にふれることができる「木地挽き」と、器を彩る奥深さを、より探求する「漆塗り・蒔絵」、現代の漆器の技術を知る「成形・塗装」。各コースとも所要時間は約2時間。卓越した技術で生み出される山中漆器の魅力をぜひ五感で体験してほしい。主催はCRAFT TOURでネット予約が可能だ。
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北陸随一の渓谷美とアラカルト懐石の宿『花紫』
文学で知る辰口と金沢
辰口温泉
古典文芸の引用を織り交ぜながら流麗な文体を駆使して夢と現実、生と死が交錯する幻想怪奇な物語世界を構築し、夏目漱石や三島由紀夫をして天才と言わしめた泉鏡花。自身や庶民の暮らしをリアルな筆致で描いた徳田秋聲、「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」と詠った室生犀星。この金沢三文豪の中で金沢の美意識や風土を最も色濃く感じさせるのは泉鏡花だとされる。27歳にして執筆したのが、妖艶な女性や蛇の道や蛭の森が登場する『高野聖』で、同じ年には辰口温泉を舞台にした『海の鳴る時』を発表している。荒れ狂う白山颪(はくさんおろし)の中で茶店に集った4人の客が語り合う不可思議な物語だ。霊山白山を望む自然豊かな辰口温泉での体験も彼の文学的感性を刺激し、作品世界に大きな影響を与えたのではないかと考えられている。鏡花が生まれた尾張町界隈には旦那集が人目を忍んで通った暗がり坂や細い路地が続く主計町(かずえまち)茶屋街がある。鏡花の作品の原風景にはその迷路にも似た路地風景があったのではないかとも考えられている。生家は現在、記念館となっているが、そこから浅野川大橋を渡れば端正な格子戸の家々が連なる「ひがし茶屋街」。人気の金箔ソフトや銘菓、生菓子などが楽しめるスイーツ天国だ。その金箔貼り体験ができる店も話題を集めている。
泉鏡花記念館からは近江町市場も徒歩圏。地元では”おみちょう”と呼ぶ市場内には「島田水産」「大口水産」「忠村水産小売部」などの鮮魚店、”ミシュランビブグルマン”を獲得するほどの名店で金沢駅にも店舗を構える「鮨 歴々」や「ノドグロ」の手押し棒鮨が人気の「舟楽」、能登牛の串焼き・炙り寿司専門店の「たくみ」、北陸の海の幸を地酒と共に満喫できる居酒屋「刺身屋」などなど、多彩すぎるほどの店が並ぶ。イートインスペースを設けている店も多いので食べ歩きにも絶好だ。
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江戸時代から続く美肌の湯と庭園の宿『まつさき』
