金沢の奥座敷に佇む｢まつさき｣。そこは静寂に包まれた緑豊かな空間で、時を忘れるような贅沢なひとときを体験できる。伝統が息づく日本旅館ならではの心尽くしのおもてなし、石川の旬の恵みに彩られた懐石料理がもたらす美食の喜び。やわらかな温泉に身を委ねながら、庭園に移ろう季節の息吹を感じる時間はまさに至福の境地。
　到着からお見送りまでお客様一人ひとりに寄り添うおもてなし係の真心や、女将が直接ご挨拶に伺う気配りもまた宿の大きな魅力。格式の中に親しみを感じ、お子様連れのお客様も温かく迎え入れる懐の深さが「まつさき」の真髄だ。
　客室は全室が数寄屋造りで、ワンランク上の贅沢な空間が広がる「鳳凰棟」と｢本館瑞雲棟｣、｢本館桃山庵・松寿庵」の４棟に趣違いの14タイプ。特に鳳凰棟は全室に温泉露天風呂・内風呂を備え、空間・景観ともに極上のひとときを約束している。本館瑞雲棟は６タイプ中４タイプが温泉半露天風呂付で利用シーンに応じて選べる客室を備えている。
　開湯千四百年の辰口温泉にあって、まつさきは江戸時代天保７年の創業。金沢の奥座敷として多くの人々を癒してきた温泉は源泉１００％。鳳凰棟には白山連峰や満天の星を望む５階に入替で楽しめる２つの展望露天風呂、檜造りの「木犀」と岩風呂の「玉竜」を備えている。
　本館１階には安土桃山庭園に面した大浴場。泉温36・５度そのままの源泉浴槽と40度の大浴槽を繰り返し楽しむ交互浴が人気を呼ぶ。

　まつさきではその時期に一番美味しい地元・北陸の食材を中心に厳選し、素材本来の味を引き出す調理法で一品一品丁寧に創作した季節感あふれる懐石料理を部屋食で堪能できる。
　月替わりの「旬彩懐石」はまつさき伝統の味。地元の旬の食材を知りつくした能登出身の料理長の思いが込められている。鳳凰棟宿泊者は食材・器にまでこだわった旬彩懐石を堪能できる贅沢さだ。
　おすすめはいしかわの旬の海の幸を贅沢に取り入れた「美味彩り懐石」。春夏秋冬で献立が変わる。例えば冬の美味彩り懐石は甘海老や寒ブリ、のどぐろなどを贅沢に取り入れた特別プランで、郷土料理の治部煮や加賀野菜、能登牛も堪能できる。蟹漁が解禁される冬場限定、人気の活加能ガニを１人１杯ずつ賞味できる「冬季限定活加能蟹懐石」も大いに人気を呼んでいる。料理と合わせる酒類も、地元酒造を中心に18種類の日本酒や２種類の焼酎をグラスで楽しむことができる。
　滞在中の憩いの場となるのは松泉湖庭園。取り巻くように茂る樹々は季節の彩りを浮かべて見る者を魅了する。渡り廊下の先には茶室「無量庵」。心静かに抹茶を楽しめば、心の澱も霧散する。