蔵王連峰などの山々に四方を囲まれ、城下町や宿場町の風情が残るかみのやま温泉にあって、ひときわ優美な施設と女将以下全スタッフによる一糸乱れぬおもてなしで知られる宿、古窯。
　話題は２つ。２０２４年に誕生した最上級スイートルームと、山形を旅する体験型朝食ビュッフェである。

　蔵王連峰の絶景パノラマや街並み、里山風景を眺める最上階８階に誕生したのが、古窯初の〝源泉掛け流し温泉が楽しめる〟展望風呂付スイート２室だ。
　「古窯スイート和洋室」は古窯で最も広い１０２㎡で、５名での滞在が可能。景色を眺めながら過ごせる開放的なリビングと源泉を湛える半露天風呂、セルフロウリュが可能な檜造りのプライベートサウナルーム、外気浴を叶える屋外デッキを備えたラグジュアリーな空間だ。
　また、「古窯スイートツイン」も87㎡の広々とした空間に50インチの大型液晶テレビや源泉あふれる展望露天風呂を備えた贅沢な空間で、４名までの滞在を叶えている。
　両室ともシックな黒を基調に落ち着きと洗練さを兼ね備えた和モダン空間で、内装や調度品には山形の文化が髄所に散りばめられている。ベッドルームには睡眠の質にこだわってシーリー社製のダブルベッドを採用。オフィスワーク可能なデスクも備え、長期滞在にも応えている。

　２０２４年７月にリニューアルオープンしたのが、料理内容や提供スタイル、演出方法・インテリアデザインまで「山形感」にこだわり、新しい食の価値観を提供する「山形を旅する体験型朝食ビュッフェ」だ。
　花笠で装飾された空間へと生まれ変わった朝食ビュッフェ会場で楽しめるのが、年間８万人以上の宿泊者が選んだベスト・オブ山形の４種の朝食メニュー。

　会場のメインシンボルは特注した直径80㎝の特大芋煮鍋。フレンチトーストのトッピングには朝日・飯豊山麓の百花園養蜂の「滴り落ちる巣枠蜂蜜」が用意され、食べる際にはその場で自分で蜂蜜を削ぎ取る疑似収獲体験を提供。その蜂蜜もさくらんぼ、とち、あかしあ、きはだ、けんぽなし、すいかなど季節で味が変わる。さらにオープンキッチンで握るつや姫おにぎりも、古窯の焼印を入れるパフォーマンスが好評。屋台コーナーではお茶漬けにもできる。どれもこれも古窯でしかできない食体験だ。きっと食会場から離れられなくなる。

　誰もが感嘆するのが『蔵王の庭』。手足を伸ばしつつ眺める蔵王の山景色や大空の広がりが晴れやかな気分にしてくれる。
　１階には和の趣の樽露天風呂を備えた『紅花風呂』や冷温の「かまくらサウナ」、高温サウナも用意されている。
　古窯ならではの体験は自ら作る楽焼。各界著名人の楽焼作品が３千点余り展示された楽焼画廊や館内に展示された楽焼を見れば創作意欲が湧いてくる。到着日に作れば、出発時間までに焼いてくれる。