一歩足を踏み入れると迫力の大空間に圧倒される。中央には青々とした湯を湛える大浴槽。高所の湯口からは滝のように湯がなだれ落ち、耳をつんざくほど。周囲には様々な浴槽を抱く東屋が並んでいる。非日常すぎるほどの演出だ。
　霧島ホテル自慢の「硫黄谷庭園大浴場」に贅沢に掛け流されているのが、泉源14本に湧き上がる１日１４００万リットルもの源泉で、ドラム缶にして１分間に50本分にも及ぶ。泉質は硫黄泉、明礬泉、塩類泉、鉄泉からなる「硫黄谷温泉」で、霧島ホテルでしか楽しめない。質量ともにまさに本物の温泉の醍醐味を存分に味わえる。
　場内はフリーと男性専用、女性専用の３ゾーンに分けられている。フリーゾーンには８種の浴槽。硫黄泉は大浴槽と赤松風呂、長寿風呂・寝湯に、鉄泉は黄金風呂に、明礬泉はひのき風呂と明礬風呂にそれぞれ引かれていて、効能を選んで楽しめる。女性専用時間も用意されている。打たせ湯が流れ落ちる大浴槽は奥行き25ｍ強。深さが1.4ｍあるから全身の血液循環を促進する立ち湯が楽しめる。大浴場近くには２０２４年８月に「リラクゼーションサロンＡＯ」が誕生。リラクゼーション効果抜群だ。

　湯の休息を叶える客室は、広々とした贅沢な空間で上質な時間を演出する「高千穂館」、全室南向きのスタンダードな客室を備えた「東館」、リーズナブルながら浴場や朝食会場に近い「西館」に多彩に揃い、目的に応じて選べる。東館の６階と７階には琉球畳の空間にツインベッドを備えた和モダンツインが誕生し、人気を集めている。
　夕食はホテルオリジナル名物鍋の「黒豚しゃも鍋」をはじめ、蕩けるような黒毛和牛ステーキ、江戸時代から伝わる酒寿司など、食の王国鹿児島の山海の恵み満載の「郷土会席」を堪能できる。地元食材を用い、薩摩に息づく伝統的調理技法で調理する味はどれもこれも絶品。さつま揚げや豚骨煮、刺し身として酢味噌で味わうきびなご、鮑ステーキなどの別注料理も芋焼酎の絶好の肴になる。
　食事会場「霧島館」から眺めるのは、ホテルが１４０年前から大切に守り続ける30万坪の『百年杉庭園』に群生する樹齢１００年以上の「霧島メアサ杉」。夜にはライトアップされて美食タイムを幻想的に演出してくれる。
　館内には坂本龍馬に縁のある霧島の歴史コーナーなどもあって興味は尽きない。早朝には霧島高原の清々しい空気を感じながら神々しい百年杉を眺める散策をぜひ。百年杉からパワーをもらえるはずだ。