サプライズは入室したその瞬間。いきなり開ける日本海の大パノラマに思わず息を呑む。全室オーシャンビューのいさごやならではの心のこもった仕掛けに大喝采だ。
　眺める海は時として空との境がない幻想的な世界を描き出す。その様を「无境」というが、２０２３年に誕生したスイート「无境」に用意されているのは、最上の設えの絶景空間に深く癒されながら、「一瞬の表情」をみせる海を眺めて過ごす幸せな時間である。
　「无境」に用意されているのがアート感覚あふれる３つのスイート。共通の設えはパノラマビューのリビングと奥州三楽郷の名泉が楽しめる源泉掛け流しオープンビューバス、和室、名作デザイナーズ家具などだが、間取りや室内装飾、雰囲気は印象さまざま。
　｢テラス・スイート｣には展望テラスやウォークインクローゼット、｢ステイ・スイート｣には電子レンジ付ミニキッチンやドラム式洗濯機、ワークデスクなども用意され、目的に応じたセレクトが可能だ。
　この３室に源泉掛け流し檜展望風呂付「和風スイート」を加えて、スイートルームは四趣。このほかにも二間のワイドデラックスツインルームやおしゃれな和風ツイン、12・５畳のゆとりに２ベッドの和風デラックスツインなど７タイプが評判を呼ぶ。

　期待は旬の食材にテーマを絞った食通のための料理だ。人気は日本海の幸もふんだんな「庄内浜海席」。寒鱈、桜鱒、のどぐろ、岩牡蠣、おばこサワラ、鰰、蟹など季節一番の食材の豊かな味わいが様々な料理法で引き出されている。秋は芋煮汁。冬はどんがら（寒鱈）汁、春には孟宗汁と、山形の多彩な郷土汁も楽しみのひとつ。
　魯山人ギャラリーを備えたダイニング『茶寮月岡』で、魯山人のうつし器で味わう「魯水の膳」に舌鼓を打つのも一興だ。庄内の地酒もオーダーしたくなる。