サプライズは入室したその瞬間。いきなり開ける日本海の大パノラマに思わず息を呑む。全室オーシャンビューのいさごやならではの粋な演出である。眺める海は時として空との境がない幻想的な世界を描き出す。その様を「无境」というが、2023年4月にオープンしたスイート「无境」に用意されているのは、最上のしつらいの空間に深く癒されながら「一瞬の表情」をみせる海を眺めて過ごす幸せな時間である。

新たに誕生したのはアート感覚にも満ちた3つのスイート。共通の設えはパノラマビューのリビングと奥州三楽郷の名泉を居ながらにして楽しめる源泉掛け流しオープンビューバス、和室だが、間取りや室内装飾、雰囲気は印象さまざま。「テラス・スイート」には展望テラスやウォークインクローゼット、「ステイ・スイート」には電子レンジ付ミニキッチンやドラム式洗濯機のランドリー、ワークデスクなど固有の設備も用意され、目的に応じたセレクトが可能だ。
この3室にかねてより人気の高かった源泉掛け流し檜展望風呂付「和風スイート」を加えて、スイートルームは四趣。椅子やソファなどには名作デザイナーズ家具がチョイスされ、居住性も抜群だ。客室はこのほかにも二間のワイドデラックスツインルームやおしゃれな和風ツインなど7タイプが評判を呼ぶ。

期待は旬の食材にテーマを絞った食通のための料理だ。人気は日本海の幸もふんだんな「庄内浜海席」。寒鱈、桜鱒、のどぐろ、岩牡蠣、おばこサワラ、鰰、蟹など、季節一番の食材の豊かな味わいが様々な料理法で引き出されている。秋の名物の芋煮汁も庄内豚肉味噌仕立てと内陸牛肉醤油仕立てで食べ比べできる。魯山人のうつし器で味わう「魯水の膳」もぜひ一度は体験したい。魯山人ギャラリーを備えたダイニング『茶寮月岡』で残照の海を眺めながらの美食も印象ひときわだ。庄内の地酒もオーダーしたくなる。