有馬温泉の高台。700年の歴史と最大級の規模を誇る兵衛向陽閣。
人気を博しているのが和風の「一の湯」、ローマ風の「二の湯」、湯治場風の「三の湯」とタイプ異なる3つの大浴場で満喫する「三つの湯処、九つの湯ぶねの金泉湯めぐり」である。大浴場の名称は有馬に湯口が一つしかなかった頃の浴槽の名称で、兵衛は二の湯に属していた。そんな歴史に思いを馳せながら日本最古の金泉を楽しむのも乙なものである。空気に触れて赤褐色へと変化する金泉は豊臣秀吉公も何度も訪れては楽しんだという歴史の名泉だ。プライベートに金泉が満喫できる庭園付貸切風呂も用意されている。

風情あふれる温泉街の街並みや四季折々の表情を見せる六甲の山並みなど、関西の奥座敷ならではの景観が広がる洗練されたしつらいの客室。そのグレードには驚くばかりだ。東館8階には1室のみの貴賓室「老松」。庭園と金泉半露天風呂、和室、ベッドルーム、専用ダイニングルームの3部屋からなる100㎡の贅沢な空間で三世代旅行など8名での利用を叶えている。西館最上階には1室の特別室を含む露天風呂付客室、北館には最上階の副室付特別室やベッドルーム付客室、上層階の副室客室。この他にも北館や西館、南館に和洋室や和室が揃う。こうした多彩な客室と美食を組み合わせたプランが多数用意されているのが兵衛の特徴だ。

食事は滞在シーンに合わせて選べる4つのスタイルが用意されている。日本旅館の基本の「部屋食」で心静かに逸品料理の数々を満喫する旬会席。木の温もりあふれる和モダンの造りの『メインダイニング木蘭』で味わうデザートバイキング付の季節の旬会席。『炭火焼＆和風ダイニングあじさい』の個室で味わう炭火炙り焼や兵衛伝統の出汁で仕上げた絶品鍋料理付の炭火焼会席。『ブッフェレストラン花の舞』で和洋中のメニューをはじめ、お造り、会席小鉢、季節のデザートなど、伝統の会席料理をアレンジした約50種類の旅館料理をバイキング形式で楽しむ有馬四季菜ブッフェ。これほどの食のバラエティが用意されているのも老舗旅館ならでは。懐の深さにも感じ入ってしまう。兵衛の心憎いほどの演出である。