日本屈指の高熱温泉が湧き上がる湯村温泉。朝野家の5つの自家源泉からも1分間に430リットル、98.4度の高熱温泉が自然湧出している。朝野家ではその天然温泉に加水することなく、4つのタンクで徐々に湯温を下げて全館全室に掛け流している。「全館客室に天然かけ流し温泉、蛇口をひねれば全て天然温泉」。その言葉に偽りはない。泉質はナトリウム- 炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉。毛穴に詰まった脂成分を溶かして肌を白くし、肌の潤いを保ち、血行を良くする「ぴかぴか・ぽかぽか・ぷるぷる」の美肌成分に優れた湯である。

内湯は檜の香が清々しく、手足を伸ばしてゆったり満喫できる。露天風呂の地下には地熱を利用した低温サウナ「夢千代洞」。室温は50～60度でもかなりの発汗が期待でき、長時間利用してもドライサウナのような息苦しさがなく、肌や髪を傷めることはないから安心して利用できる。

客室で人気を呼んでいるのが、クイーンベッド付洋室や洋室、和室二間、和洋室、和室特別室、和室貴賓室など6タイプの露天風呂付客室だが、2023年4月には露天風呂付の「大人の隠れ家 New Asanoya Style 湯籠里（ゆこもり）」がオープンしている。約90㎡のスイート和洋室3室と、約70㎡のエグゼクティブ和洋室と約45㎡のデラックスツインが各1室。いずれも隣接したダイニングルームで部屋食が楽しめ、室内には大型スマートテレビや最新のスマートテーブルを備え、まさにお籠もりに最適な空間となっている。

夕食は手作りにこだわり、「最もおいしい状態で提供する」旬の和風会席料理を椅子テーブル席の個室食事処で堪能できる。新鮮な食材が手に入れば、その都度料理内容を変更して美食に仕立ててくれるばかりか、目の前で料理の仕上げ・調理をする「席前料理」も行っているそうである。日本海を間近に控えた土地柄。冬の王様・松葉ガニも料理長が水揚げ日本一の浜坂漁港に出向いて競り落とした最高品質のブランド蟹を提供してくれる。

朝野家のおもてなしは馥郁と伝わる日本文化への思い。茶道・華道・香道の三道に学んだ一期一会の心。到着すれば心からの出迎えとほっと落ち着く抹茶の心遣い。館内には焚きこめられた香の漂い。客室には煎茶とほうじ茶、玄米茶の用意…。流れるように和のやすらぎへと導かれる旅時間。温泉の魅力もさることながら、日本の宿の心息づくおもてなしにも深く癒される。