特集
おしんのロケ地に
魅せられて
銀山温泉
NHKの大ヒット番組「おしん」には、米俵1俵と引き換えに奉公に出される娘が真冬の最上川を筏で下っていく別れのシーンがある。脚本家の橋田壽賀子さんは戦後間もない頃に山形を訪れた際、地元の人から「奉公に出る子どもは筏で最上川の激流を下った」という悲しい話を聞いており、その記憶から生まれた場面だそうだ。その「おしん」の撮影の舞台の一つとなったのが銀山温泉で、番組ではおしんが山深い温泉地で苦難の日々を振り返るシーンがあったが、それがそのまま銀山温泉のイメージと重なる。夕暮れにはほのぼのともるガス灯が川面に映ってさざめき、得も言えない旅情を描き出す。雪の頃の情感も心を捉えて離さない。そのビジュアルイメージは他の温泉地の追随を許さない。
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四季折々の自然を満喫できる川沿いの宿『仙峡の宿 銀山荘』
覚えておきたい
泉質10分の7
鳴子温泉
平安時代の「続日本後紀」に、837年の火山爆発によって源泉が噴出したと記載されている鳴子温泉。温泉神社の歴史も古く、温泉の守護神としては最も高い格式にある。その温泉だが、日本にある10種の泉質のうち7泉質が湧き出している。しかもほとんどの宿で源泉掛け流しの醍醐味を満喫できる。源泉が多いため「隣の宿は違う泉質」ということも珍しくない。湯めぐりに便利な街歩きマップが鳴子温泉観光協会公式ホームページからダウンロードできる。お得な「湯めぐりチケット」もおすすめしたい。定番だが鳴子峡散策もぜひ。大谷川が刻んだ深さ100mに及ぶ大峡谷だ。
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3泉質の源泉が楽しめる『鳴子ホテル』
名瀑の地で味わう
温泉とニッカ
作並温泉
広瀬川上流には階段状になった大小の滝がある。その水音が伝説の鳥、鳳凰の鳴き声を連想させることから「鳳鳴四十八滝」と名付けられた名瀑群だ。そこから進んだ先にあるのが1796年に開湯した作並温泉。歴代仙台藩主の隠し湯として知られ、多くの文化人にも愛されてきた。街の中心にあるのが源泉掛け流しの足湯を備えた「観光交流館ラサンタ」で、地域と山形県との交流拠点となっている。作並駅からJR仙山線に乗れば、立石寺のある山寺駅まで24分ほどの距離。確かに近いから県境を越えての旅も期待できる。とっておきの体験はニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸留所見学。事前予約すればウィスキーのテイスティングも可能だ。名水の里ならではの楽しみである。
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山と呼吸をあわせるリトリート宿『ゆづくしSalon一の坊』
最上川を愛した
茂吉の生涯
かみのやま温泉
芭蕉が「五月雨をあつめて早し最上川」と詠み、上山生まれの斎藤茂吉が「最上川の上空にして残れるはいまだうつくしき虹の断片」と詠んだ最上川。茂吉は山形を愛し、独居生活を送った大石田(現 山形新幹線停車駅)の地で数多くの歌を残している。この歌は大石田の虹ヶ丘から眺めた最上川の雄大さを詠ったものである。最上川は紅花などの舟運で富をもたらし、全国から豪商を集め、その経済力で独自の文化圏を育んだ。江戸時代には芭蕉、明治期には正岡子規をはじめ多くの文人墨客を流域の地に招いている。医師であり歌人だった茂吉の生涯を振り返れば、伊藤左千夫、森鴎外、与謝野鉄幹、北原白秋、石川啄木、上田敏、佐佐木信綱、島木赤彦、芥川龍之介、菊池寛などそうそうたる作家や歌人と邂逅している。欧州に留学中にはアドルフ・ヒトラーのミュンヘン一揆にも遭遇したという。芥川龍之介は文才に優れた茂吉を高く評価し、一番小説を書かせたいのは誰かと聞かれた際には即座に茂吉の名を挙げたという。かみのやま温泉にある斎藤茂吉記念館を訪ねれば、その茂吉の創作活動の一端を知ることができる。
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蔵王連峰を一望する老舗おもてなし宿『日本の宿 古窯』
温泉街から
城下町へ
蔵王温泉
蔵王温泉のある山形市は蔵王山系から流れる豊富な水によってできた扇状地。「奥羽の驍将」と呼ばれた最上義光の城下町で、その栄華を伝える霞城公園をはじめ、明治・大正時代のモダンな洋風建築や蔵屋敷が建ち並ぶ街並みなど数多くの見どころが残されている。中でも「山形まるごと館 紅の蔵」は、かつての紅花商人の蔵屋敷を利用した観光複合施設。母家と5棟の蔵で構成されていて、山形県の食材を味わえる飲食店や地域の特産品の販売店などがある。城下町の中心、七日町で市民の憩いの場となっているのが「御殿堰」。市街地を網の目のように流れている農業用水堰「山形五堰」の一つで、御殿堰を石積みの水路に再生した親水空間と堰の景観を利用した商業施設だ。水路をはさんで並ぶ町屋づくりの建物にはレストランや和風喫茶もあり、散策ついでにひと息付ける。
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・300余年の歴史を伝える本物の井温泉旅館『深山荘高見屋』
・乳白色の「八右衛門の湯」が人気の『蔵王国際ホテル』
美食家の政宗公も驚く
究極のマリアージュ
秋保温泉
伊達政宗公が度々訪れ、疲れを癒したと記録に残るのが「名取の御湯」として知られる秋保温泉だ。政宗公は「馳走とは旬の品をさり気なく出し、主人自ら調理してもてなすことである」という言葉を残すほどの美食家だったそうだが、秋保温泉の宿では政宗公に負けず劣らず心尽くしの旬の料理でもてなしてくれる。
谷や川を吹き抜ける涼やかな風とミネラル分豊富な秋保石を含む土壌に恵まれた秋保はワイン醸造に適した地。まさにテロワールだ。ぜひ訪ねたいのが秋保ワイナリー。広大なブドウ園には赤ワイン用のメルロー、ピノタージュ、白ワイン用のピノグリ、シャルドネなど12種類・約7000本の樹が植えられている。”究極のマリアージュは産地にあり”をコンセプトとするレストランでは、各種ワインとともに地元農家が育てた野菜や宮城・東北の食材を活かした食体験を堪能できる。その至高の美食やワインの味は、慶長遣欧使節として支倉常長をローマに送り西洋の文化を学ばせようとした政宗公もきっと驚くに違いない。
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・政宗公の湯浴み御殿『伝承千年の宿 佐勘』
・伝統的な数寄屋造りの高級旅館『茶寮宗園』
・湯めぐりが人気の『ホテルニュー水戸屋』
・壮大な日本庭園と絶景を楽しむ『篝火の湯 緑水亭』
