日本海が夕映えに染まり始めると、由良海岸の先の白山島が漆黒のシルエットとなって浮かび上がる。庄内随一といわれる絶景だ。柔らかに弧を描く由良海岸は「日本の渚百選」と「日本の夕日百選」にも選ばれた景勝の地。東北の江ノ島とも称えられる白山島には八乙女の語源にもなった八人の乙女の伝説も息づく。八乙女の各部屋にはその伝説をイメージした八乙女像も飾られている。夜ともなれば目の前の奇岩「願懸岩」がライトアップされ、その光景にも目を奪われる。

客室は和の趣が際立つ美室で、全室が日本海ビュー。西館に16畳和室や和洋室、東館に10畳和室や和洋ベッドタイプ、露天風呂付特別客室などが揃う。特別客室は純和室と白山島を眺めるソファが置かれた広縁、二面から海を眺めるツインベッドルーム、海側に２槽の露天風呂を備えたハイグレード空間だ。和洋室には畳間にツインベッドが置かれたタイプや和室と洋室が独立したタイプなど趣違いの空間も用意されている。

海の絶景を眺める温泉がすばらしい。西館3階と東館3階温泉大浴場ではともに海眺めの心地良い湯浴みが叶う。湯量も豊富な温泉や海風を楽しみながら刻々と移り変わっていく夕映えの海を眺めるひとときも心に残る。

寒流と暖流がぶつかり合う庄内沖は海の幸の宝庫。春の桜鱒や口細鰈、夏に旬を迎えるイカやサザエ、アワビ、秋の平目やハタハタ、冬の鮟鱇、寒鱈まで様々な魚介が揚がる。
夕食で味わえるのが庄内有数の由良港直送の海の幸盛りだくさんの海鮮膳。鮮度抜群、食べきれないほどのボリュームだ。食事中、女将が一つひとつのテーブルを挨拶してまわる姿も印象に残る。宿の温もりも伝わってくる。