創業1929年（昭和4年）。数寄屋造りの佇まいがひときわ美しい欽山は有馬温泉を代表する高級料亭旅館。風情あふれる有馬の魅力とともに、四季折々の旬の食材を活かした懐石料理、名湯有馬の金泉・銀泉、きめ細やかなおもてなしが自慢の宿である。

欽山では創業当初より料理に重きを置き、仕入れもその日の良質な素材から厳選し、新鮮な旬の食材のみを使用している。しかも最高の状態で味わってもらうためにお客様の食事時間に合わせて調理を開始し、出来たての料理を一品一品味わっていただけるように心を配っている。さらに「量より質」をモットーに、例えば瀬戸内の魚介や特選黒毛和牛、産地直送の旬の食材なども一品一品で完結するのではなく、一連の流れとして愉しんでいただけるよう全体のバランスにも気を配っている。

連泊されるお客様や、月に何度も足を運んでいただくお客様にはご希望がない限り同じ料理を出すことはなく、いつ訪れても新鮮な感動を味わえるように創意工夫を凝らしている。苦手な食材があった場合もお客様お一人おひとりに対応している。
朝食は全14品の料亭旅館ならではの和定食。お米は白ご飯または三種のお粥から、焼き魚は三種から、卵料理も三種類の調理法から選んで楽しむことができる。洋朝食への変更も可能だ。
欽山ではまた、日本古来の宿泊文化である旅館を継承するための基本として、夕・朝食は一部プランを除き「お部屋食」にこだわっている。一品ひとしな、温かい料理は温かいままで、冷たい料理は冷たいままで、専属の仲居がお客様の部屋まで丁寧に運んでいる。2020年12月には感染症対策を施した完全個室料亭「花海棠」がリニューアルオープンし、隣接した専用厨房からの出来たて料理を一品ずつ提供している。最高の状態の料理を希望するお客様にはぜひおすすめしたい。

欽山ではお客様にお過ごしいただく館内が常に清潔であるように、基本的に毎週2日間休館日を設けて修繕や徹底清掃を行っている。2022年11月にはwithコロナ時代にも安心して滞在することが可能な「新基準客室」、約200㎡の貴賓室1室と約63㎡～約120㎡の特別室12室の計13室が「銀泉露天風呂付客室」としてリニューアルオープンしている。欽山における新基準客室の定義は次の通りである。

1　高機能熱交換型換気設備を導入し、客室内全域に確実な換気を可能にする。

2　玄関扉及び客室内トイレ扉に非接触型自動扉を導入し、更なる清潔な環境を整える。

3　脱衣洗面室・トイレは独立性を保ちつつ、一体感のある快適なドライエリアとする。

4　客室専有の温泉（銀泉）浴室を設置し、外気温度に応じて開閉可能な半露天風呂とする。

5　部屋食可能な和室、ベッドを設けた寝室、ゆとりある広さのリビングの三間構成とする。

6　余暇を楽しみつつ仕事が行えるワーキングスペースを設置する。

欽山の経営理念は「常にすべてに対して積極的にチャレンジする」。お客様お一人おひとりを大切にし、日本古来のおもてなしの技術を通じて「安心」と「快適」、そして「高い満足感」を提供するとともに地域社会や取引業者にも貢献することを表明している。食のおもてなしも新基準客室もその意欲の表れである。
ミシュランガイドで兵庫県の旅館で唯一の「一つ星」認定、豪華で最高級の快適な旅館を表す「五つ屋根」としても高い評価を受けている欽山。その称号はこうした経営理念とは無縁ではない。静かに流れる大人の時間を楽しんでもらえるようにと、春・夏・冬休み期間並びに特定期間を除き、小学生以下の子ども（乳・幼児を含む）の入館を断っていることも特筆したい。
滞在中は銀泉と金泉、2つの湯が楽しめるのも欽山の大きな魅力。大浴場「つづみの湯」「花の湯」の露天風呂及び内風呂では有馬温泉を代表する茶褐色の金泉を存分に満喫できる。大浴場にはサウナも併設しているほか、人間工学に基づいた使い勝手の良い洗い場も用意されている。
館内にはピアノバー「フォーシーズンズ」やカラオケ「モンドール」、エステルームなど大人の時間を演出する各種施設や宴会場なども揃う。細部にまで目を配り、宿泊者の身になって高品質なくつろぎを創造し提案する欽山。たゆまぬ努力が極上の時間を紡ぎ出している。